「危険だから」と、どれだけ反対したことか。

 しかし、カヨは譲らなかった。

『危険なのは、あなたもいっしょよ』

 そう言って。

 おれに冷たくそっけない態度をとったり、揶揄ったりいじったりする彼女だが、ほんとうはやさしくて気遣い抜群なのだ。

 彼女は、それをなかなか表に出さない。だから、だれもが誤解するのだ。

 結局、エドムンドとフェリペの二人を同道させるということで折り合いがついた。これもまた一人ずつ同道してもらおうと彼女は譲らなかったが、このことについては彼女以上におれが譲らなかった。

 とはいえ、捕まってしまえば彼女は一人になる。エドムンドとフェリペとは、確実に離れ離れになるだろう。最終的には、彼女一人で対決しなければならない。

 レディだから、せめて拷問は避けて欲しい。

 そう願わずにはいられない。

 内心で歯噛みするが、みんなで決めたからには従うしかない。

 さっそく隠れ家を出て最初の訪問先へ向かった。

 ひとりで、である。