どれをとっても完璧な貴公子。

 が、胡散臭すぎる。

 胡散臭すぎて笑ってしまう。

 もっとも、それを表情に出すような間抜けではない。

 向こうが善良で親切な王子を演じるのなら、こちらはバカで他人(ひと)を信じて疑わない間抜けを演じればいい。

 わたしたちは、いまのところまったく情報を持っていない。

 当然のことだけど、隣国にいるわたしたちにこの国の情報を得る術はない。というよりか、情報を知ったところで為になるわけではない。

 たとえば、この国の産物が安いとか、めずらしい物が出回っているとか、そういう生活に密着するような情報ならまだしも、政治的軍事的な情報はあまり関係がない。

 とりあえずは、どんな情報でもいい。ささいなことから重要なことまで、あらゆる情報を仕入れておきたい。