「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~

 アルマンドとヘルマンはともかく、車椅子の青年は線が細く、そこそこの美貌は真っ青である。雰囲気は、知的な感じがする。あるいは、小賢しい策士って感じか。

 第三王子のクレメンテ・サルディバル。

 彼に間違いない。

(へー、王子様たちのそろい踏みね)

 三人を見まわしつつ、苦笑を禁じ得ない。

「カヨ、きみたちに宰相殺しの嫌疑がかかっている。それだけではない。亡き国王陛下、われわれの父上の座を継ぐはずのクストディオ・トルタハーダの殺害容疑もだ。表向きは、だが。きみたちは、わたしたちを罠にはめようとしたのだろうが、それがかえってわたしたちに好都合だったわけだ。クストは生きている。だろう? フェリペがペラペラと囀ってくれたよ。きみが即断頭台行きだと言ったらね。だってそうだろう? 宰相、そしてクスト国王陛下(・・・・)殺害の罪は、断頭台くらいではすまされない」
「ヘルマン。結局、あなたにだまされたわけね。静かに暮らしたい、だったかしら? 最低限の生活さえ出来ればいい、だったかしらね? 笑ってしまうわ。それはともかく、どうせなら元国王陛下の暗殺もわたしだってことにすれば? 『侯爵令嬢、クズ皇太子に婚約破棄された腹いせに隣国で簒奪劇を繰り広げる』。これって面白いわよね。ワクワクするわ」