「世紀の悪女」と名高い侯爵令嬢がクズ皇太子に尽くし続けた結果、理不尽にも婚約破棄されたのですべてを悟って今後は思うままに生きることにする~手始めに隣国で手腕を発揮してみるけど文句ある?~

「いるんでしょう? このままではすぐにでも餓死してしまうわ」

 か細い声だからきこえなかったのかもしれない。手のひらで扉を叩くのも、力が弱いのかも。

 もう少し声量を上げ、手のひらに加えて足で蹴ってみた。

 が、やはり反応がない。

(だれもいないのかしら?)

 そう思った瞬間、扉が開いた。

「ったく、うるさいレディだな。罪人らしくおとなしく出来ないのか?」

 扉の向こうに現れたのは、アルマンドとヘルマン、それから車椅子の青年。

 アルマンドが車椅子を押し、三人は室内に入ってきた。