「クルルルルル」

 ここにもど厚かましいのがいる。

 お腹の虫もまた、いまの状況などおかまいなしに空腹を主張している。

「いやね。だけど、たしかにお腹が減っているわ」

 最近、いつでもお腹が減っている気がする。だから、お腹の減り具合でいまがいつ頃なのかを推測するのは難しい。

 お腹が減っていたら、悲観的になってしまう。わたしは気が弱すぎるから、ここに閉じ込められているというだけでストレスがたまる。

 その上お腹が減っていたら、余計にストレスがたまってどうにかなってしまいそう。

「ちょっと、だれかいるんでしょう? お腹が減っているの。メインはお肉でもお魚でもいいから、すぐに食事を持って来て」

 手のひらで扉をバンバン叩きながら、控えめにお願いしてみた。

 どうせ扉の向こう側に見張りがいる。その人にお願いするしかない。

 が、なんの反応もない。