「とにかく、今夜を乗りきる。そうすれば、つぎはおれたちの番だ。だろう?」
「ええ、そうね。だったら、わたしもエドとフェリペのことを信頼して明日に備えるわ。そう決断すると、楽しみになってきた」
「そうこなくては。カヨ……」

 彼は、わたしの手に自分の手を添えた。

 ロウソクの淡い光の中、彼の美貌が赤く染まっているように見える。

「その……」
「なにかしら?」

 クストディオが言い淀むなんて、めずらしいこともあるのね。

 気長に待っているけれど、彼は続きを言いだしそうにない。