「これで宰相は動かざるを得ない。クスト、きみを消そうとね。あるいは、さらって死ぬまで監禁するか。だが、それだと費用がかかる。ほら、犬や猫を飼うのにもエサ代等かかるだろう? なんらかの理由で早々に死んでくれればいいが、そういうときにかぎって生に執着するのかしぶとく生き続ける。自給自足でもさせないかぎり、食い物や着る物の費用がかかる。それならば、殺してしまった方がずっとラクだ。長期的な目で見れば、費用もかからない。まあ、殺害の依頼料はけっして安くはないがね」

 ヘルマンは、うれしそうに言う。

 彼がやって来た日の夕食時である。