最初が悪かったからこそ、いまはよりよく見えたり感じられたりするかもしれない。

 カヨもそのギャップで参ってしまいかねない。

 そうなると、おれもうかうかしていられない。

 カヨが美貌にほだされることはないとは思うが、レディの心はわからない。

 そうだな……、なにか彼女にアプローチ出来ないだろうか。

 そんなことを考えつつ、地下室で眠っている母の遺品とやらを確認してみた。

 ありがたいことに、アルマンドは王宮に戻った。

 王宮を抜けだしているのだから、当たり前なのだが。

 アルマンドのことはともかく、カヨがいっしょに地下室にいっしょに行って確認したそうにしていた。しかし、遺品を見ながら彼女のことを考えたかった。だからやんわり断り、ひとりで地下室にこもった。

 もっとも、遺品の中に亡き国王の正式な遺言書が混じっていたこと、母の人となりが知れたことは大きな収穫だった。
 遺言書もだが、母の日記はいろいろな意味でおれに刺激や気づきを与えてくれた。