この日、エドムンドとフェリペは夕方になっても戻ってこなかった。

 例えば第一王子が街にくるという情報を得、それなりの場所で待機しているのかもしれない。あるいは、その逆で情報を得るまでがんばってくれているのかもしれない。

 いずれにせよ、全員の分の夕食は必要だ。

 剣の稽古を終えて汗を拭ってから居間に戻ると、カヨがとんでもないことを言いだした。

『わたしが夕食を作る』、と。

 だから、すぐにおれが作ると言った。

 だってそうだろう? 百歩譲って彼女に作ってもらったとしても、夕食のメインがゆで卵だけというわけにはいかない。

 おれは、そこそこ料理が出来る。それは、彼女も知っていることだ。

 不承不承だが、彼女は同意してくれた。

 というわけで、さっそく夕食づくりに取りかかった。

 開始して早々、カヨは家事に向いていないということをあらためて思い知らされた。