すこしだけお腹が減っているのは、気のせいだと自分にいいきかせる。

 それでなくてもクストディオとヘルマンに「太った」という疑いを抱かれている。

 寝る前になにかを口に入れようものなら、親の仇のように言われてしまう。

 レディとして、それは沽券にかかわってくる。

 だからグッとガマンすることにした。

 居間から引き取って自分の部屋に戻ってきた。たった数日しかすごしていない部屋なのに、なぜか居心地がよすぎると感じている。ほんとうにシンプルでそれほど大きくもない部屋だけど、どこかセプルベタ侯爵家の自分の部屋を思わせる。

 思えば、わたし自身の部屋もいたってシンプル。そして、それほど大きくはない。つまり、過度な装飾や大きすぎたり複雑な間取りは落ち着かない。

 自分自身の部屋に似ているからね。

 寝台に座って空腹に耐えながら、あらためて室内を見まわしてみる。

 クストディオのお母様もこの屋敷ですごしていた。

 彼女は、孤独だったのかしら?