「へー。まっ、もう関係ないがね。では、おれはいまの情報の礼をしよう」

 クストディオったら、驚いているくせにポーカーフェイスを気取って。

 しかも、予期せぬことを言いだした。

 彼は、いつの間にか一冊の本を手に持っていた。おもむろに頁を開けると、そこにはさんである封筒を取り出し、ローテーブルの上に置いた。

 その封筒には、これみよがしにバラと獅子の紋章印が押されている。蜜蝋で封をされていたようだけど、すでに開けられている。

「ヘルマン。読んでみてくれ」

 そう勧めたクストディオの声は、なぜか厳粛さがにじんでいた。