「おい、やめておけよ。好きなようにさせろ。バカに付き合うことはない」

 クストディオが止めたけれど、もう堪忍袋の緒が切れている。

「世紀の悪女」と名高いわたしだけれど、一度きりの人生をバカのお守りで終わらせたくはない。だったら、さっさと終止符を打って別の人生を歩みたい。

 出来ればスローライフを。

 だれともつるまず、モフモフ動物に癒されながらのんびりすごすの。

 というわけで、クストディオを無言で睨みつけ、執務室へと続く扉のノブを握って回し、おもいっきり扉を開けた。

 そうして、真っ裸を目の当たりにした。

 婚約を破棄されたのは、その真っ裸事件の夜だった。

 婚約破棄の理由が笑える。

 いいえ。ほんとうは笑ってはいけない。だって、不名誉きわまりないから。

 だけど、笑わずにはいられない。