「どうして最初のときに話してくれなかった?」

 ヘルマンの話が終ったとほぼ同時に尋ねたのは、クストディオだった。

 いまのクストディオの問いは、わたしの問いでもある。というよりか、だれでも不思議に思うはず。

「きみたちは、この国に来たばかりだ。わたしがなにを訴ようと頼もうと、胡散臭く感じられさえすれとても信じられなかっただろう? それどころか、いまでも信じているわけではない。そして、これからも信じられないだろう」

 ヘルマンは、男性にしては華奢な肩をすくめた。