彼らがまだ食べていなかったり、というか、まだ食べていないのでしょうけれど、もしも彼らの分も大皿にのっていたのだとすると、なくなってしまった以上彼らはありつくことが出来ない。

 つまり、わたしたちが彼らの分まで食べてしまったということになる。

 だけどまぁ、彼らは食べていなかったとしても正直には答えないはず。

(心が痛むわ)

 心を痛めていると、エドムンドが「カヨ様、お気遣いありがとうございます。おれたちは大丈夫です」と曖昧な答えをよこした。

「そう。とにかく、美味しかったわ。ありがとう」

 さらに心が痛むけれど、そう答えるしかない。だからそうした。

「とってつけたような言い方だな」
「あなた」

 クストディオがいわれのない誹謗中傷をしてきたので、反射的に彼の足をおもいっきり踏んづけてしまった。

 ローテーブルの向こう側にいるヘルマンに、それが見えるわけがない。