「カヨ様、ヘルマン様が到着なされました」
「カヨ、ヘルマンが奇襲攻撃をしかけてきた。呑気に眠っている場合じゃないぞ」

 クストディオとフェリペの言葉がかぶったけれど、頭はすでにすっきりしているからちゃんと理解出来た。

 それにしても、なんてことかしら。王都から逃げ、隠れているも同様の王子ヘルマンがやって来たですって?

 これは、面白くなってきたじゃない。


 この隠れ家は、ヘルマンがアルマンドと一緒に自分たちの隠れ家用として購入した屋敷である。

 だから、わたしが居間に行ったとき、ヘルマンがそこでくつろいでいるとしてもちっともおかしくない。

 彼は、いつもエドムンドとフェリペが座る長椅子でわがもの顔でくつろいでいた。

 というか、一瞬どこかの司祭かと思った。

 なぜなら、司祭服姿が目に飛び込んできたからである。

 クストディオも隣で驚いているに違いない。