「ああ、わかっているさ」

 第一王子は、美貌に苦笑を浮かべた。

「鼻がひしゃげたボディーガードがいただろう? そいつは、おれがはした金で飼っているスパイだ。そいつからやり取りはすべてきいている。伯父貴をやり込めるとは、なかなかやるなと感心したよ」

 それって鼻がひしゃげたボディーガードのこと?

 宰相のボディーガードは、二人とも同じような顔や体格にしか見えなかったけれど。

 それはともかく、彼は彼なりに宰相を警戒して備えているわけね。