「あららら……」

 厨房の床にオリーブオイルが散乱してしまった。だから、床上は艶々している。

「ごめんなさい。すぐに拭くわ」

 モップよね。

 厨房を出て掃除用具がしまわれていそうな所を、片っ端から開けてみる。

 が、どこにもない。扉を開けた向こうは、ほとんどが普通の部屋である。

 途方に暮れつつ歩いていると、階下、つまり地下室へと続く階段が目に留まった。

「もしかして、地下室に?」

 掃除用具なら、充分考えられる。

「間違いないわ」

 なぜかそう確信し、段に足をおろした瞬間……。