ボリューム満点の朝食の後、エドムンドとフェリペは出かけた。

 宰相と第一王子の様子を探りに行ったのである。

 とくに第一王子は、夜間に王宮をこっそり抜けだすかどうかにかかってくる。

 取り巻きの貴族子息たちの屋敷で働く使用人の中には、報酬しだいでいくらでも情報を売ってくれる人がいるとか。
 そういう人たちから情報を得、おおよその推測を立てるらしい。

 諜報員ってほんとうに地味な仕事をするのね。もちろん、コツコツと積み重ねも必要である。

 いっきに白黒つける方が好みのわたしには、そういう仕事はとても出来そうにない。

 それはともかく、エドムンドとフェリペが隠れ家にいないということは、今日もクストディオと二人きりで留守番ということになる。

 二人が出かけると、わたしは読書することにした。

 クストディオは、また剣の練習をするみたい。

 居間の長椅子に座っていると、ちょうど彼が剣を片手に居間のガラス扉を出て行こうとした。