おれが「暗殺された国王の血を引いていない」ということにするのではなく、その国王の遺言がなかったことにするつもりなのだ。

 なるほど、と思った。

 国王の遺言の存在を知る者は多くはない。かぎられている。

 隠す、あるいは葬ることはじつに簡単だろう。

 一瞬、その想定外のなりゆきに頭がついていかなかった。

 が、カヨは違った。

 彼女は、即座に頭も心も切り替えたのだ。