宰相イグナシオ・オルティスとの密会場所は、王立公園内のバラ園にあるカフェにしたらしい。

 公共の場、しかも一般人のいる中での密会である。

 そこだとたとえ宰相がおれたちを、というよりかおれになにかしようとしていても、衆人環視の中では実行に移しにくいだろう。

 エドムンドとフェリペは完璧だ。

 カヨへの想いはともかく、そういう点では彼らを認めざるを得ない。

 そして、味方であってよかったとも痛感せざるを得ない。

 隠れ家を出発する前、エドムンドがカヨにナイフを手渡しているのに気がついた。

 万が一にも、身に危険が迫ったときに自分の身を守る為のナイフらしい。つまり、護身用のナイフだ。