「どうしてわたしの言うことを無視するのよ。エド、あなたもよ」
「無視だって? よくきこえなかったんだ」
「なんですって、クスト? きこえなかっただなんてこと、あるわけ? だったらもう一度その役立たずの耳に怒鳴りましょうか?」
「わかったわかった。では、正直に言うよ。無駄だよ」
「はああああ? 無駄ですって?」
「ああ。レディ癖が悪い奴ほど面食いだ。だれでもいいというわけではない。きみの元婚約者もそうだろう? 彼らは、自分なりにある程度の基準があるんだ」
「な、なんですって? どういう意味よ。わたしは、その基準に達していないというの? 基準に達していないから、役立たずの聖女もどきを好きになって真っ裸でイチャイチャしている場面を見せつけられた挙句、婚約破棄されたというの?」