「第一王子に会える可能性ですか? そうですね。可能性ということでしたら、あるかもしれません。じつは第一王子にはちょっとした趣味がありまして、それをまだ続けているとすれば会え可能性があるのです」
「それよ、それ。それに賭けましょう」
「おいおい、カヨ。そんなに簡単にいくわけ……」
「クスト、こういうことってやってみなくてはわからないでしょう? あなたみたいに物事をなんでも慎重に考えるのはいいことだけれど、慎重(それ)はときに臆病と言えるわ」
「わかったわかった。きみのおおせのままに。エド。それとは別に、ヘルマンはどうするつもりなのかな? いつのタイミングで姿を現すのかわからないが、いいところだけかっさらわれるようなことになるのは癪だろう? もしかすると、彼はおれと宰相が潰し合うのを期待しているのかな?」