「カヨ、きみの言う通りだ。遺言のことを密かに教えてくれたあの方もまた、閣下と同じくそのことを知る権利のある人に違いない。だからこそ、教えてくれたのだろうから。あの方がわれわれを担いでいるとは、考えにくいからな」
「あなた。いずれにせよ、閣下はあなたには権利がなく、力を貸すつもりは毛頭ない、ということのようですね」
「ああ、そのようだ」
「せっかくお近づきになれましたのに、残念ですわね」
「仕方がない。あの方に確認し、ヘルマンを呼び寄せて今後のことを検討しよう。カヨ、これ以上は時間のムダのようだからお暇しようか」
「はい、あなた」

 クストディオと同時に立ち上がった。