「なんだと? ローズティーなのだろう。バラ園のを使うのではないのか?」

 宰相は、間違いを指摘されたのが気に入らなかったらしい。

 渋い美貌の眉間に皺をよせ、気色ばんでいる。

(気の毒に……)

 店員は、バラのことをなにも知らない客に対して困惑している。