「いやだわ。ごめんなさい。まさか真面目に受け止められるとは思わなかったの」
「フンッ」

 エドムンドに謝罪した瞬間、肩を並べているクストディオが鼻を鳴らした。

「ちょっと、なによ? なにが『フンッ』なのよ?」

 腹が立った。関係のない彼に鼻を鳴らされる筋合いはない。

「重要な密会の前にくだらないことを言うからだ」
「みんなが緊張しているから、それをやわらげようとしただけよ。わたしの意図も察せず、そんなことをよく言うわね。ああ、そうね。あなたは完璧だから、緊張も不安もないわよね。それはどうも申し訳ありませんでした」

 いやだわ、わたし。

 素直に「ごめん」、とだけ言えばいいのに。それなのに、口から飛び出すのは嫌味ばかり。