「そうでしたか。気がつかず申し訳ありません。ああ、そうだ。帰って来る途中に入手した葡萄酒があるのです。よろしければ、カヨ様と飲んでください。すぐにお持ちしますから」

 フェリペは、可愛いらしい顔にうれしそうな、それでいてどこか安堵したような表情を浮かべてから厨房内に駆け戻った。

 が、エドムンドは傷のある顔をポーカーフェイスに保ったまま、こちらをじっと見つめている。

 心と頭の中を見透かされているようで居心地の悪い思いをしていると、フェリペが葡萄酒の瓶とグラスを二個とコルク抜きを持って戻って来た。