目指すは厨房。

 そこなら料理用の葡萄酒があるはずだ。

 ふだんはめったに葡萄酒を飲むことがないのに、このときだけは無性に欲しくなった。

 もしかすると、なにか虫の予感のようなものがあったのかもしれない。

 結局、そのなにかは的中した。

 厨房で交わされているエドムンドとフェリペの会話をきいてしまったのである。