「起きているわよ」

 反射的にクストディオの問いに答えていた。

 しかも、必要もないのに控えめな声量で。

 さらに必要がないのに扉を開けていた。

 こちらは、無意識の内にである。

 そして、クストディオと向かい合っていた。

「な、なによ」

 彼に対するわたしの第一声がそれだった。

 クストディオの呼びかけに間髪入れずに応じてしまったことから、彼に待ち構えていたと受け止められてしまう。

 すくなくとも、わたしだったらそう受け止める。

 気恥ずかしさと気まずさから、ついつい不愛想になってしまったのである。