つい先程クストディオの肩にやさしく置いていたと同じ手は、今度はそのおなじ肩を殴っていた。しかも拳にして。

「いたたた」

 クストディオは、上半身を折ってうめき始めた。

 大げさすぎるわよ。

「フェリペ、このバカの言葉を真に受けないで。わたしが悪女っぷりを発揮するのは、敵だけ。味方にはそんなことないし、ましてや可愛いあなたを『食う』、だなんてことしないから。たぶん、だけど」

 なぜか言い訳がましくなっていた。

 エドムンド、それからクストディオが笑い始めると、わたしも笑わずにはいられない。

 ただ一人、フェリペだけは可愛い顔をキョトンとさせていた。