「宰相に告げました。『ヘルマン様は、ご自身の潜伏先で元王妃が連れて逃げた王子を密かに味方にひき入れました。その王子を、王都に連れ込んでおります』、と」

「元王妃が連れて逃げた王子」とは、クストディオに他ならない。

「なるほど。彼らは、亡くなった母やおれのことをそういう認識でいるのか」

 クストディオのそのつぶやきは、なぜかわたしの心に響いた。

「申し訳ありません」

 それは、エドムンドも同じだったのかもしれない。

 彼は、ローテーブルの向こう側で頭を下げた。