「あのねえ、クスト。わたしは、料理が出来るのよ。家事の中では料理が一番得意なの」

 というよりか、家事の中でまだマシなのが料理というレベル。

「ふんっ! 卵をただ茹でるのだって料理といえば料理だよな」

 クストディオは、美貌にニンマリと笑みを浮かべた。

(なぜなの? 彼は、どうしてわたしの得意料理を知っているの。まったく、腹が立つわ)

 ダメダメ。彼のペースに引きずり込まれてはダメ。

 どうも調子が狂うわ。これまで、元婚約者のダニエルと敵対する連中相手だったら、たとえ無理難題、あるいは理不尽きわまりない言葉にでもうまく対処したり撃退出来たのに。それなのに、クストディオ相手だと調子が出ない。

 たしか子どもの頃にはなんの気兼ねをすることなく言い合い、というか口ケンカをしていたのに。