そんなわたしの気持ちは、お父様たちはお見通しだった。常日頃から「嫌なら婚約を破棄して領地に戻ろう」と言ってくれていた。

 しかし、そうすればお父様の顔に泥を塗ることになる。ダニエルに恥をかかせるのはいいとしても、皇族の勘気を被ってしまう。

 それは、セプルベタ侯爵家そのものを潰しかねない。

 それもあってがんばってみたけれど、結局、潰してしまったようなものである。

 真っ裸の二人を見たとき、見て見ぬふりをすることが正解だったのかもしれない。

 そうすれば、せめてお父様とお母様は皇都から追放されずにすんだのかもしれない。

 もちろん、それが正解かどうかはわからないけれど。