「ごめんなさい。失言だったわ」

 素直に謝った。いまのは必要なかった。

「いや、いい。それにしても、こうして待っているというのも苦痛だな。しかし、まだ一人っきりでなくてよかった。きみが来てくれなかったら、おれはここで一人ポツンと待たねばならなかった。いろいろ悲観的なシチュエーションを想像しつつね。それどころか、ヘルマンのところにいたかもしれない。王都まで足をのばすことすら出来ないままに」
「そんなことはないわよ。あなたが一人でこの国に来たのだったら、いまごろあなたはエドとフェリペといっしょに出かけていたはずよ。一人で待つより、いっしょに行動すると言ってね」
「それもあるかもな」