不埒な上司と一夜で恋は生まれません

「急にいい写真と言われましても」
と和香が言うと、

「じゃあ、いいわ。
 今から適当に撮るから」
と母はゴソゴソ、スマホを出してくる。

 ブランド物の落ち着いた革のスマホケースから、妙にキラキラとデコったものにかわっていると思ったら。

 友人の小学生の子どもが作ってくれたものなのだと言う。

 ……この人のこういうところは嫌いではない。

 だが、この人に和香の写真を撮らせようものなら、細かいことにはこだわらない人なので。

 適当にものすごい半目な写真を撮っておいて、

「あら、いいじゃない。
 和香さんは可愛いから、これでもいいわよね」
とか言って、そのまま差し出しそうだ。

「いや、待ってください。
 そういえば、いい写真があります」

 耀は財布の中をゴソゴソし、例の写真を取り出した。

「これで」