ブロンズの像はエヴァの瞳。
絡みつく蛇は、天球に踊る大気圏を突き抜けるラブスムーズ。
焼け付く酒に喉が鳴る、すると、どこからか、音がしてくる。
胃の奥にあったピンクの塊が、這い上がる退廃の鐘の音。
りんりんりん。
耳をすまして、壁の向こうから、聞こえてくる、愛する人の吐息さえ、微かに泣いている、思う人を求めるそのしなやかな指は、宙を彷徨う、掴めない憧れ。
イエスは、思い出す。
死の先にあった黄昏の都は、赤く燃えていた。
パッション。

ラブスムーズ。
挟まれた記憶は、痛くてしかたがない、生まれたままのアダムの葉っぱは、ラブスムーズ。
永遠の恋人の間で、泣いている少年は、今、平和な中で、退屈な寂しさに、海にいる母の面影に、火をくべる、ろうそくは燃えていた、微かに。
鼓動は、鳴っている。
どくどくどく。
確かめる。
生きているといくことを。
気が抜けたポップのように、泡となった酒は干からびたグラスのそこには、何もない。
指し示す道は、分かれている。
あの日、出会った数々の乙女の微笑と涙が、揺れるろうそくを、燃え上がらせた。
狭い部屋の窓からのぞく、夜の顔、足音。
静かに手を指に当て、私は、少女を求めていた。
そう、何もなくなった、壁の向こうには、天使の歌声が聞こえている。
ラブスムーズ。
天上の詩ではなく、恋をする天使の優しい紅色の頬。