【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

社長の両親はもう亡くなっているから仕方ないとして、私の父が不参加なのは少し異例だろう。

 ──けれど理由は単純。結婚のことを知らせていないからだ。

突然、家に帰ってこなくなった娘が結婚式を挙げていると知ったら、父は卒倒するに違いない。

しかも相手は大企業の御曹司。

高城さんやウェディングプランナーには「親御さんに知らせないのは良くない」と何度も説得されたけれど、ここだけは譲れなかった。

父に伝えれば、継母や継姉も必ず出席するだろう。

そして、あの二人のことだから、私の結婚を許せなくてぶち壊そうとするに違いない。

──もう二度と顔を見たくない。父にも会いたくない。

会ってしまったら、自分の中のなにかが壊れてしまいそうで。

これは、他人には説明できない感情だ。

社長は海外に行っていたから、この件についてどう思っているのかはわからない。

できれば、ずっと触れずにいてほしい。

 そして結婚式のあと、私たちは婚姻届を提出し、形式上ではなく本当に夫婦となった。