社長はなにかがプツンと切れたように、私の唇に社長の唇を押しつけていた。

 初めての、キス。

 私は目を見開いたまま固まった。どうしていいのかわからなくて、何度もまばたきをする。

 余裕がまったくない社長の姿を見るのは初めてだ。社長は私の体を抱きしめて、いったん唇を離し、私の顔を見た。

 固まりながら、目を閉じずにまばたきばかりを繰り返す私を見て、社長は愛おしそうに笑った。そして、社長から余裕のない緊張感が消えて、再び唇を重ねてきた。

 今度はとても優しくて、柔らかくて、体が溶けそうになるくらい甘いキスだった。