【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

そして結婚式前日。

ようやく帰国できた社長から『会いたい』『空港に迎えに来てほしい』なんてメッセージが届いたけれど──私は無視した。

忙しいのも、大変だったのもわかる。

けれど、式直前まで私からの連絡を無視してきたのは社長の方なのだから!

結局、久しぶりの再会を果たしたというのに、一言も話さないまま結婚式当日を迎えることになった。

 ふてくされた顔で、ウェディングドレスに身を包む。

……正直、もう怒ってはいない。

腹が立っていたのは本当だけれど、社長の顔を見た瞬間、怒りが急速にしぼんでしまった。

 だけど振り上げた拳を、どう下ろしていいのかわからない。

『私は怒っていたんだからね』というアピールもしたい。

けれど本当は、久しぶりに会えた嬉しさを隠すための照れ隠しでもある。

あまりにも恋愛経験値が低すぎて──いや、そもそも経験ゼロすぎて、こういう時どうすればいいのかさっぱりわからない。

 そして戸惑ったまま、私は結婚式を挙げることになった。