――数日後、俺は彼女に正式にプロポーズをした。
都心の夜景を背景に、ロマンチックな演出をすべて整えた。
人通りがないように交通規制をかけ、ブライダルコンシェルジュに頼んで彼女の指輪のサイズを事前に調べてもらい、完璧な指輪も用意した。
万全の準備のおかげで、俺と彼女の距離は一気に縮まった。
だが――。
その翌日、東南アジアで中規模の地震が発生し、現地支店の建物が大きな損害を受けた。
従業員の安否確認や現場視察のため、急きょ現地へ飛ぶことに。
次々とトラブルが起こり、解決に追われるうちに──日本へ戻れたのは、結婚式の前日になってしまったのである。



