(しゃ、社長が、料理を作っている!)

 しかもご丁寧にデニム生地風のエプロンまで着用して!

「おはよう。ちょうど良かった、今出来上がったところだ」

 社長は朝の光を浴びて、笑顔がキラキラに光っている。

(これは、一体、どういうこと?)

 昨日まで社長の冷蔵庫には飲み物以外なに一つ入っていなかった。それに、社長は朝ごはんを食べるタイプではないし、ましてや料理を作るタイプでもない。

 それが、なぜ……。

 口を開けて驚き固まっている私を尻目に、社長はダイニングテーブルに作った料理を並べていく。聞こえるか聞こえないかくらいの音量で鼻歌をうたっているので、とてもご機嫌ということはわかった。

 社長が作った料理は、ホテルのルームサービスで提供される朝食のようだった。