【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

「……はい」

 ふにゃりと笑みを浮かべながら、結婚を承諾した。

 社長の指が、私の薬指にダイヤをはめる。

 ぴたりと吸いつくように馴染むそのサイズに、思わず胸が熱くなる。

(……いつの間に、私のことをリサーチしていたの……?)

 左手を顔の高さまで掲げ、薬指のダイヤをしげしげと眺めた。

「うわぁ……夢みたい」

 酔いのせいで呂律がまわらず、ふにゃりとした笑みを浮かべながら呟く。

 私がへらへらと笑っているのに対して、社長の横顔はひどく真剣だった。

「今まで辛かった分、これからは俺が全部受け止める。絶対に幸せにするから」

「……どうして、私が辛かったことを知っているのですか?」

 小首をかしげる私に、社長は悲しそうに眉を寄せ、唇を噛みしめた。

 次の瞬間、ぐっと強く抱き寄せられた。

社長の胸に顔を押しつけられ、驚いて硬直する私の耳元に、低い声が落ちてくる。

「嫌なら嫌って言ってくれ。……離したくないけど、言われたら離す」

 広い腕に包まれて、温かくて心地いい。

胸の奥までじんわりと満たされていく。

「……嫌じゃ、ない」