【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

 キャンドルが幻想的に灯る街並みを、二人並んで歩く。

なぜか不自然にほかに人影はなく、とても静かで心地よい。

「なんだかデートみたいですね」

「デートだろ」

 社長がさらりと告げた言葉に、胸が高鳴った。

「じゃあ……私、初デートです」

 私の言葉に、社長の目が大きく見開かれる。

「この歳で初デートって、引きました?」

「いや。顔が緩むのを我慢できないくらい、嬉しい」

 思わず社長の顔を覗き込むと、本当に嬉しそうに口元を緩めていた。

 そのとき、社長が立ち止まり、真剣な表情で私の正面に向き合った。

「色々と順番は逆になったが……これを受け取ってほしい」

 差し出されたのは、四角いリングケース。

(ドラマで見たことある……これって、もしかして――)

 ケースが開かれた瞬間、光を浴びてきらめく大きなダイヤの指輪が目に飛び込んできた。

「俺と結婚してほしい」

 いつもは強気な社長の瞳に、わずかな緊張が混じった真剣な色が宿っていた。

 キャンドルの灯りと酔いに包まれた私は、夢の中にいるようで――。