【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

「これから……どこに行くんですか?」

「買い物だ」

「買い物、ですか?」

「お前の服」

「えっ⁉」

 思わず、社長を凝視してしまう。

「私服もスーツもインナーも必要だろう。化粧品もだな。今日は買うものが多いぞ。覚悟しろよ」

「え、ええ、ええ⁉ え、それって……」

「えが多いな。もう何回目だよ」

「で、でも私、お金なんて……」

「お前に出させるわけないだろ」

 社長は呆れ顔で横目をよこす。

(ええええ~~っ!)

 心の中で思わず絶叫した。

危うく口から出そうになり、慌てて飲み込む。

これ以上“え”を連発したら、また突っ込まれてしまう。

「い、いいんですか⁉ そこまでしてもらって」

「俺の嫁になるんだから、これくらい当然だろ」

 ――結婚バンザイ!

 着の身着のまま同棲することになって、不安ばかりだったのに。

これって実は、とんでもなくおいしい話だったのかもしれない。

 感謝のあまり、思わず手を合わせて拝んでしまう。

「なにしてんだよ」

「いや、つい……ありがたすぎて」

「俺は仏像じゃねぇよ」