【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

 マンションの駐車場に停められていたのは、ブラックのスポーツタイプの外車だった。

派手さはなく、むしろ上品な高級感が漂っている。

「あれ、いつもの車じゃないんですね」

「あれは仕事用だ」

 なるほど、ではこれはプライベート用ということか。

さすがは御曹司。

 社長が運転席に、私が助手席に座る。

距離は変わらないのに、不思議と特別感が増して、まるでデートのようだった。

(……って、なにがデートよ。社長はともかく、私はスーツ姿じゃない!)

 一人で赤面しながら、心の中で突っ込みを入れる。

 ハンドルを握る社長の横顔に目を向けると、すっと通った鼻筋、喉仏、袖口からのぞく引き締まった前腕に、心臓が早鐘を打つ。

気持ちを落ち着けようと、慌てて口を開いた。