【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

 コンシェルジュの言葉に、思わず顔を上げる。

「ドレス……今から?」

 社長が優しく目を細め、頷いた。

 ――ウェディングドレスの試着。

 憧れに決まっている。女子なら一度は夢見る瞬間だ。

 試着室の扉を開けた瞬間、目の前に広がった光景に思わず息をのんだ。

「わぁ……!」

 真っ白なレースのドレスがラックいっぱいに並び、光を受けて小さな宝石のようにきらめいている。

胸の奥が一気に高揚し、つい子どものように目を輝かせてしまう。

「どれをお選びになってもお似合いでしょうね」

 コンシェルジュの言葉に、社長は誇らしげに微笑んだ。

「……世界中の誰よりも似合うと思いますよ」

 恥ずかしい台詞を、まったく照れずに言えるのはこの人だけだ。

頬が熱くなるのを感じながら、必死に視線をドレスへと向ける。

 そんな私に、社長はそっと耳を寄せて囁いた。

「全部試してみてもいいんだぞ」

「いや、迷惑だし……疲れちゃうよ」

「俺はいくらでも見ていられる。……むしろ、ずっと見ていたい」

 まるで恋人に囁くような甘い声。

思わず心臓が跳ねて、耳の奥まで熱くなる。

なんという恥ずかしい言葉を、どうして平然と口にできるのか。

しかも耳元で、私だけに届くように囁いている。