【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

 社長とおじい様をエレベーターまで見送ったあと、高城さんと二人きりになり、やっと素の声を出せた。

「ちょっと……さっきの話、本当なんですか? 一ヵ月以内に結婚式って!」

「ええ。時間が限られていますからね。本来なら間に合わないところでしたが……今日のお姿を拝見する限り、むしろ生気を取り戻されたようです。案外、長生きなさるかもしれません」

「それは……いいことですけど。でも、私、昨日の今日で、まだ心の準備が……」

「工藤様は、社長のお隣にいてくださるだけでよろしいのです。それだけで、社長はご機嫌でいらっしゃいますから」

 高城さんは目を細め、どこか嬉しそうに言った。

 私が隣にいるだけで……社長がご機嫌?

 本当にそんなことでいいのだろうか。

結婚相手が見つかったこと自体が、よほど嬉しかったのかもしれない。

――確かに、社長と結婚したい女性は大勢いるだろうけれど、離婚前提を承諾する人なんて、きっと私くらいだ。

「では工藤様。ご挨拶も済みましたし、早速ご準備を」

「えっ、でも私にも仕事が……」

 足を踏み出そうとした瞬間、高城さんが静かに立ちふさがった。

「最短で、と相談役から直々に指示がありました。今、工藤様が最優先で取り組むべきは――結婚の準備です」

「け、結婚の準備って……でも、私の仕事が……」

「現在、この結婚以上に重要なお仕事は存在しません。株価に影響を及ぼすほどの重大案件なのです」

「……か、株価!?」