【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

「佐伯さん、申し訳ありません。急用で席を外します。会社内にはおりますので、必要があれば携帯にお願いします」

 顔を上げた佐伯さんが、まっすぐに私を見つめる。

「……大丈夫か? 顔が疲れているぞ」

「はは……」

 引きつった笑いが漏れた。

――やっぱり顔に出てしまっている。

社長のおじい様に会うなんて、正直怖すぎる。

どうして結婚を承諾してしまったのだろう、と早くも後悔の念が押し寄せてくる。

「事情はわからないが、困ったことがあるなら遠慮せず相談しろ」

「はい……ありがとうございます。頑張ります」

 半分魂を抜かれたような足取りでエレベーターホールに向かうと、ちょうど本部長との話を終えた高城さんが合流した。

 エレベーターを待つ間も、背後から佐伯さんの心配そうな視線を感じて、胸の奥がざわつく。

 結局、啖呵を切って社長室を飛び出したはずが、数時間も経たずにまた戻るはめになるなんて――。