【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

 思わず頭を抱えて身悶える。

恥ずかしさで、消えてしまいたくなる。

 気を取り直してスーツに着替えた。

きっと実家では、継母も継娘も怒り心頭だろう。朝食を作る人間がいないのだから。

(知るか。私は、私の人生を生きる)

 そう心の中で宣言し、二人の携帯番号を着信拒否し、ラインもブロックする。

 身支度を整えた私は、おそるおそるリビングへ足を踏み入れた。

「……広い」

 思わず息をのむ。

 朝日を浴びて輝くリビングは、まるで別世界だった。

 壁一面がガラス張りの窓になっていて、東京の景色が一望できる。

光沢を放つ木目調の床は、差し込む陽光を反射してきらきらときらめいていた。

 大人二人が横になっても余裕のある大きなソファ。スクリーンのようなテレビ。緑を湛える観葉植物。

どこを見ても高級マンションのモデルルームのように完璧で、ため息がこぼれそうになる。

 漆黒の大理石で造られたキッチンカウンターは、一見冷たく感じられるのに、朝の光を浴びるとやわらかな艶をまとい、上品に輝いていた。