【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

 ずっと夢見てきた。

 どうすればあの家から出られるのか、何度も何度も考えた。

けれど最後には、どうやったって無理だと絶望するしかなかった。

 感情のままに飛び出したとしても、行き場もお金もない。

家を出れば、待っているのは新しい地獄だけ――そう諦めていた。

 けれど、今こうしている。

 社長と結婚することが地獄だろうか?

 いや、こんなに整った場所で暮らせるのに、そんなはずはない。

大丈夫、この選択は間違いじゃない。

 そう自分に言い聞かせ、浴室を出ると下着はもう乾いていた。

パジャマに着替え、髪をゆっくり乾かす。

けれどスーツの除菌はまだ終わらなかった。

 あと十分か……ここで待っていようか。

 ベッドに戻ったら、きっとそのまま眠ってしまう。

 椅子に腰を下ろし、クリーニング機をぼんやり眺めているうちに、瞼が重く落ちていく。

必死に抗っても、睡魔には勝てず――意識は静かに途切れていった。