【改稿版】シンデレラは王子様と離婚することになりました。

 夫の反応はというと、コーヒーを飲んでいた彼は盛大に吹き出しかけていた。

 ……やっぱり、タイミングを間違えたのかもしれない。

 こんな清々しい朝に持ち出す話題ではなかった。

 けれど、もう引っ込めることはできなかった。

「……いつ離婚するの?」

 思いきってさらに問いかけると、夫は「朝からなにを言っているんだ」とでも言いたげに、鋭い目を向けてきた。

 私はその視線を正面から受け止め、真剣に聞いているのだと目で訴える。

 引くつもりはない──そう決意して。

 だが彼は気まずそうに目を逸らし、「また今度な」と曖昧に返して、コーヒーをひと口。

 ……また今度?

 今度、話し合おうという意味なのか。

 それとも、今度時間ができたら離婚しようという意味なのか。

 問いただそうとした私をよそに、彼は新聞に視線を落とす。

 これ以上は話さない、と無言で告げるように。